買い物袋を両手に持って帰宅し、エントランスの前で鍵を探す。宅配ボックスから荷物を受け取り、住戸の玄関でもう一度鍵を取り出す。マンションの鍵を使う場面を思い浮かべると、毎日の暮らしの中に、小さな手間がいくつもあります。
新築マンションの開発に置いては、こうした場面の小さな手間を軽減できる設備選びなど、日々頑張っていないでしょうか。誰がどこから入り、何を持って移動するのか。暮らしの流れに沿って考えると、オートロックや宅配ボックスなど、それぞれの設備に求める役割が具体的になります。
さらに考えなければいけないのが、入居後の管理です。入居者の家族が増えたとき、鍵をなくしたとき、住む人が変わったときに、誰がどう対応するのか。使う人の便利さと、その暮らしを支える管理の両方から、鍵・入退室設備の選び方を考えてみましょう。
まずは、企画している物件での帰宅を想像してみてください。駅から歩いてエントランスへ向かう人もいれば、駐車場や駐輪場から建物に入る人もいます。途中で郵便物や宅配の荷物を受け取ることもあるでしょう。
その道順で、どこに扉があり、どこで鍵を使うのかを図面に重ねてみます。たとえば、エントランスでは鍵を取り出さずに入れても、駐輪場からの出入口や住戸の玄関では取り出す必要がある計画なら、便利になる場面は限られます。主な出入口だけを見ていると、別の経路を日常的に使う人の手間が見えにくくなります。
物件が想定する暮らしによっても、注目する場面は変わります。子育て世帯を想定するなら、子どもと手をつないだ帰宅やベビーカーでの移動。一人暮らしの人を想定するなら、仕事帰りの荷物の受け取りなどです。設備の機能を選ぶ前に、どの場面を快適にしたいかを考えると、設計者や設備会社とも話を進めやすくなります。
生活動線が見えてきたら、普段の使い方と、そこで必要になる管理を重ねてみましょう。計画を点検するヒントとして、次のような場面があります。
買い物帰りには、鍵を探すだけでなく、荷物を持ち替えたり、いったん置いたりする動きもあります。鍵を取り出す手間を減らしたいなら、解錠の方法に加えて、その場所で立ち止まる必要があるか、扉をどう開けるかも見ておきたいところです。
ごみ出しや近くへの散歩も、暮らしを考える手がかりになります。どの扉から出て、どこから戻るのか。その往復で何を持つ必要があるかを見ていくと、入居者にとって使いやすい出入口を考えやすくなります。
住む人には日常的に使いやすく、訪れる人には訪問先へ無理なくたどり着いてもらう。そのためには、家族の利用と、来客・配送・点検などの受け入れを分けて考える必要があります。
たとえば、家族が増えたときの鍵の追加や利用登録を、誰が受け付けるのか。顔認証を使う計画なら、登録しない人や認証できない人が利用する方法も併せて考えます。来客についても、居住者が解錠する場面と管理担当者が立ち会う場面を具体的に想定しておくと、必要な設備と対応が整理できます。
ワークスペースやシアタールームなどを設けるなら、予約してから実際に利用するまでを一続きで見てみましょう。予約はアプリでできても、鍵を受け取るために別の場所へ行く計画なら、その受け渡しも運用の一部になります。
予約した人がいつ入れるのか、同伴者はどう利用するのか、利用時間を過ぎたときはどうするのか。共用スペースの設備と利用ルールを併せて検討すると、住む人への案内と管理側の対応を具体化できます。
こうした暮らしの場面に対して、顔認証も選択肢の一つです。対応する設備では、登録した顔で解錠できるため、鍵を探したり、かざしたりする手間を減らせます。エントランスに加え、宅配ボックスや住戸扉など、どの場所で使うかによって、日常の動きも変わります。
その使いやすさには、端末の設置方法も関わります。
FreeiDを導入いただいた北ガスライフロント様の賃貸住宅「EFUTE北円山」では、エントランスに化粧柱を設け、顔認証端末を斜めに設置しています。歩く方向に合わせることで、自然な動線で入館できるよう工夫した例です。ご担当者からは、管理会社や社員が現地へ行く際に、鍵を持参する手間が省けたという声もいただいています。
共用施設を含めて選ぶ視点もあります。三井不動産レジデンシャル様の賃貸レジデンス「パークアクシス横浜伊勢佐木町通り」では、顔認証による解錠に加え、ワークスペースなどの予約・利用管理を導入判断で重視いただきました。共用部を充実させる物件の企画と、その場所をどう使い、管理するかを結びつけた事例です。
出典:三井不動産レジデンシャル様「パークアクシス横浜伊勢佐木町通り」導入事例
どちらも、物件ごとの計画に合わせた導入例です。自社の計画に取り入れる際には、「同じ設備を採用するか」に加え、「どの場面の手間を減らしたいか」を重ねてみると、検討する範囲が見えてきます。共用部だけに導入する場合と、住戸まで含める場合では、鍵を使う場面や管理する対象も変わります。
設備を選ぶ段階で、入居時の使い始めから、その後の変更までを考えておくことも大切です。顔認証を採用する場合も、登録できる人をどう確認し、家族の追加や退去に合わせて、誰が登録を変更するかを決めておきます。
賃貸マンションなら、入退去や原状回復の作業に合わせて、居住者や業者が入れる場所と期間を整理します。分譲マンションなら、引き渡し後の家族の追加、住戸の売却や賃貸などで住む人が変わる場面を想定します。開発時の担当者が継続して対応する前提になっていないか、管理予定会社とも確かめたいところです。
分譲マンション向けの仕組みとして、FreeiDマンションPlusでは、入居者がアプリと、登録用の機器(ハードウェアトークン)・QRコードを使い、自身で顔認証の登録・切り替えを行えます。住戸の譲渡時には鍵と一緒に機器を引き渡し、新しい入居者が従前の登録情報を削除できる仕組みです。
出典:FreeiDマンションPlus 提供発表(2025年8月28日)
このような仕組みを選ぶと、管理側が受け付ける手続きも変わります。入居者自身でできることと、問い合わせや紛失時に担当者の対応が必要なことを分け、引き渡し時の説明まで考えておきましょう。普段の出入りだけでなく、住む人が変わっても利用を引き継げるかが、設備選定の判断材料になります。
使い方が具体的になったら、採用する扉や錠、宅配ボックスなどの仕様と、顔認証で連携したい範囲を照らし合わせます。連携の可否や必要な機器は個別に確かめ、端末の設置位置・向きも、図面上の動線と併せて検討しましょう。
費用を比べる際は、同じ戸数・対象の扉・利用範囲を前提にします。共用部だけの案と住戸まで含む案では、機器や工事の範囲が異なります。初期費用に加え、継続利用の費用、保守や交換、問い合わせ対応の範囲までそろえると、採用後に必要な負担を比べやすくなります。
通常どおり使えない場面も、設備会社と管理予定会社で共有しておきます。認証できないとき、通信が切れたとき、停電したときに、どう出入りし、どこへ連絡するのか。代わりの鍵を使うなら、その保管と受け渡しも含めて決めます。顔情報の利用目的や保存・削除の方法、入居者への説明についても、採用するサービスの仕様に沿って確かめます。
次の設計打ち合わせには、帰宅や宅配の受け取りなど、使いやすくしたい場面をまとめて持ち寄ってみてください。そこに引き渡し後の担当者の対応を添えると、暮らしのイメージを、設置する場所や必要な機能へ落とし込めます。
マンションで顔認証を取り入れた暮らしや設備の活用例は、FreeiDのマンション向け紹介ページでもご覧いただけます。